u1tnkです。青色レシートOCR を作っている立場で、他の会計サービスのレシートOCRがどれくらい読めるのか気になったので、同じレシート10枚を4サービスに読ませて比較しました。

自社サービスが混ざっている比較なのを前提に読んでください。生データは末尾のスプレッドシートで全部公開しています。

比較したサービス

A社・B社・C社さんとします。

表記使った機能
青色青色レシートOCR(自社)
A社会計ソフトの AI-OCR
B社会計ソフトのファイルボックス
C社会計ソフトのスマート証憑管理

テスト素材

使ったのはフリーで公開されているレシート画像データ10枚(出典は末尾に記載)。

コンビニ・スーパー・飲食店・ドラッグストアなどが主に入っています。意地悪枠として次の3枚を混ぜました。

  • 収入印紙の領収書(東京交通会館・14,000円)— 非課税で明細が独特
  • ポイント併用払いのレシート(ドン・キホーテ・合計612円のうちポイント529円充当、現金支払83円)
  • 屋号と運営会社名が違う飲食店(店頭表記 TOKYO PAO / 運営 株式会社アジアンテイブル)

結果サマリ

各項目を「確認画面までで正しく取れたか」で評価しています。

項目青色A社B社C社
日付
金額
取引先名
インボイス登録番号×
税率・消費税額××
勘定科目の提案×
明細内容の要約×××

◎ ほぼ正確 / ○ 概ね取れる / △ 一部のみ / × 取れない・機能なし

金額は解釈の揺れはあってもほぼ全問正解(C社のみ2枚で金額が未抽出)。日付は青色とC社が強く、B社は3件で発行日そのものが未抽出、A社も1件誤読がありました。差が出たのは 取引先名の表記・登録番号・税率・勘定科目の提案・明細要約 でした。以下、気になった点。

ポイント併用レシートで解釈が割れた

ドン・キホーテのレシート。合計612円のうち529円をポイントで充当し、現金支払は83円。各サービスが「金額」に採った値がこれです。

サービス採った金額
A社借方612円 / 貸方現金83円(差額を両建て)
B社612円
C社83円
青色83円 → 612円になるよう挙動を修正した

ポイントを「値引き」と見るか「支払手段」と見るかで、経費として計上する額が変わります。仕訳として一番説明的だったのはA社(借方612・貸方83と両方出す)。

青色は当初この83円のほうを拾っていましたが ポイントや電子マネーで一部を充当した場合は充当前の合計を金額にする ようAIのプロンプトを調整したところ、612円を返すようになりました。

AIを利用したOCRなのでプロンプトの調整で改善可能、です。また、科目の判定についてはユーザ設定でカスタマイズも可能です。

インボイス登録番号の検出困難なミス

登録番号は「T+13桁」と桁数が決まっています。ここで2件ミスがありました。

  • ツルハドラッグ: 青色が T430001010672先頭1桁欠けの12桁)、C社は T1430001010672 と正しく読んだ
  • ヨークベニマル: 青色・A社が T7380001006893、C社が T73800010066931文字違い

どちらも一見それっぽいので、目視チェックをすり抜けます。これを受けて青色には 「T+13桁でない番号は採用せず空欄にする」桁数チェックを入れました

なお B社は、登録番号を国税庁の公表データと突き合わせて「登録されている番号です(名称:◯◯)」と事業者名まで出してくれました。番号の妥当性を機械的に裏取りする作りは、この観点では一番安心感がありました。

取引先名は各サービスの個性が出る

同じ店でもこれだけ割れます。

レシート青色A社B社C社
パルケ反町店Parque (反町店)Pargucoトップパルケ反町店パルケParqueR
TOKYO PAOTOKYO PAO株式会社アジアンテイブル株式会社アジアンテイブルpetit
ローソン反町二丁目店LAWSON (反町二丁目店)LAWSON 町二丁目店ローソン反町2丁目店LAWSON

TOKYO PAOのように運営法人名(株式会社アジアンテイブル)が出るケースもありますが、10件全体で見るとA社・B社とも店頭表記寄りの名称が多数派で、法人名優先が一貫した傾向というほどではありません。屋号で経費を思い出したい個人事業主には店頭表記のほうが便利なこともあり、どちらが良いかは使い方次第です。C社の「petit」だけは最後まで由来が分かりませんでした。

日付の誤読は静かに起きる

A社が収入印紙の領収書を 2027/04/25 と読みました(正: 2025/04/27)。年と日が入れ替わった形で、しかも未来日付です。B社は3件で発行日そのものが未抽出でした。金額が合っていても日付がずれると帳簿上は別物になるので大事なところです。

使い勝手 — アップロードから記帳まで

精度と同じくらい差が出たのが操作フローです。今回実際にやった手順はこうでした。 (各会計ソフトに習熟しているわけではないので良い方法に気づいていなかったらご指摘ください🙏)

A社 アップロード → 書類種別と電子帳簿保存法区分を全ファイルで選択 → 自動でOCR → 詳細画面で確認・修正 → 1件ずつ取込

B社 アップロード → 自動でOCR → 詳細画面で確認して不足項目を追記 → 1件ずつ取込

C社 アップロード前に「一括でOCRする」設定にしておく → アップロード → 取り込み済みの状態になる → 修正が必要なものだけ1件ずつ直す → 一括取込

青色 アップロード → 自動でOCR → スプレッドシートに一括で記録。会計ソフトへはCSV経由で取り込む

会計ソフト3社中ではB社がラク、C社は分かればラクですが、初見殺しで事前一括設定しないとかなりの手間です。 特にA社は書類種別と電帳法区分を全ファイル分選ぶ前工程があり、枚数が増えるほど手間が積み上がります。

青色はスプレッドシート上でまとめて直せるので枚数が増えても手間が一定に近い一方、会計ソフトへはCSVを取り込むワンクッションが入ります。ここは完全にトレードオフです。

まとめ

  • レシートを登録すれば大体適当な科目にしてくれるのは青色の他にはB社ぐらい。ちょっとサンプルが少なくてどの程度なのかは判断つきません。
  • 金額はどのサービスもほぼ全問正解。日付は青色・C社が強く、B社は発行日未抽出が3件、A社は誤読が1件あった。差は 取引先名・登録番号・税率・科目提案・明細要約 で出た
  • 登録番号の1桁事故が2件。桁数チェックや国税庁データとの突合を通していない番号は信用しないほうがいい
  • ポイント併用・収入印紙のような変化球で、各サービスの設計思想が見える
  • 気づいた課題(ポイント充当の解釈・登録番号の桁チェック)は、青色ではこの検証を機にその場で直しました。精度は後から上げられます。

10枚のみの小さな比較なので、レシートの傾向が変われば結果も変わります。判断材料として、生データを全部公開しておきます。

試してもらえると嬉しいです → 青色レシートOCR